植物細胞壁に憧れて研究の道へ

9/22(土曜)14:30-16:00 東京大学農学部でワークショップを開催します!

「国際的に活躍する”希少性の高い人材”となるために今からできることとは?」 - 留学,海外勤務,研究を目指す人の情報交換ワークショップ -


詳細はこちらをご覧ください!


これまでに海外での活動を行なってきた講師陣4名を迎えて,活動紹介, パネルディスカッションとフリートークから,どのようにしてグローバル人材になっていったかを知り,参加者の皆様が海外で活躍するために今日から何ができるかのヒントを得ることができます.


ぜひ,フランクに経験者と情報交換を行う場として活用していただきたいと思っています!


ワークショップに参加する講師陣として,『植物細胞』の魅力にはまって大学でアメリカ留学,来年にはケンブリッジ大学大学院へと留学予定の 石田光南(こなん) さんを紹介します!

-------------------------------------------

初めまして.

現在,東北大学の修士課程で植物について研究している石田光南(こなん)と申します。

今回は、今取り組んでいる研究の面白さをお伝えします.

私が研究の道に進んだきっかけは、大学の学部時代に出会った先生のある宣言を聞いたことです.


「植物細胞壁が世界を救う」


「お〜!なんか知らんけどかっこいいな!」と謎の憧れを抱いてしまったことにあります。


細胞壁というのは植物細胞の最も外側の器官です。植物は一度芽を出した場所から動くことができない分、環境の変化に対して植物の中で対応する必要があります。

そこで重要なのが細胞壁です。


細胞壁は堅さとしなやかさを兼ね備えており、強度を調整することで成長の速度を変えることもできれば、病原菌が葉っぱにくっついた時には「感染を受けているので防御しよう」という指令を細胞壁を通して植物体全体に伝えることができます。


他にも、大気中の二酸化炭素を細胞壁に糖として蓄えることができるのは植物のみがなせる技で、私たち動物は植物を食べることによって間接的に炭素の循環に組み込まれています。

細胞壁にそのような機能をもたらすのは、「細胞壁をつなぎかえる」働きを持つ酵素(生物が持つ分子のマシーンのようなもの)のおかげです。


その中で私が取り組んでいるのは、「細胞壁を繋ぎかえる酵素ができたおかげで、植物は陸上に住めるようになったのではないか」という仮説を検証することです。


植物は太古の昔に海の中で誕生しました。その時の姿は今とは全然違っていて、シアノバクテリアと呼ばれる小さな単細胞生物でした。その後、長い時間をかけて細胞を増やし、葉っぱや茎のような形を作り、少しずつ現在私たちが目にするような維管束植物へと進化してきました。

近年の遺伝子解析技術の進歩により、その生き物がどんな酵素を持っているかがわかるようになりました。そこから見えてきたものは「祖先型の植物は細胞壁を繋ぎかえる酵素を持っていないぞ」ということです。

これは最初に挙げた仮説を支持する結果です。

次に疑問に思うのは「じゃあいつから繋ぎかえ酵素を持っているのか」ということです。

すると、維管束植物よりも随分と古いタイプの植物と考えられている「ゼニゴケ」という植物では繋ぎかえ酵素がすでにあるにもかかわらず、その試作段階の酵素も重要な役割を持っているようでした。現在はその試作段階の酵素について調べており、この研究結果もそう遠くないうちに発表できることを見込んでいます。


私が留学をしたのは今からちょうど2年前の学部三年生の頃です。

優れた研究環境に身を置き、レベルの高い教育を受けたいと思うようになったのがきっかけです。そんな折に運良くアメリカでも指折りの植物生理学の研究機関のあるミシガン州立大学への留学が決まりました。


最初から最後まで口語のハイスピードな会話には苦戦しましたが、専門の話は普段英語で読んでいることもありそれほど苦労することなく学習できました。講義や研究プロジェクトは毎日楽しく取り組めましたが、ミシガンの厳しい寒さと日本食が手に入らない辛さでお世辞にも快適とは言えない生活でした。

それでも10ヶ月間の留学を終え帰国すると、自身の英語力の向上や研究への理解が深まっていることが実感でき、困難な留学生活を耐え抜いて良かったな,と心から思えました。

さらに、アメリカ留学は10ヶ月という短期間で、正規の学生ではなかったということもあり、次は正規留学にも挑戦したいという思いが芽生えました。


その後、紆余曲折あり海外の大学院に行くための奨学金の支援が決まり、来年の夏からイギリスのケンブリッジ大学の博士課程に進学することを予定しています。


こんな風に,目の前のふとした疑問からでも価値のある研究ができます。実際に僕自身も高校生の頃は自分が研究の道に進むとは夢にも思っていませんでした。


それでも好きなことや気になることを追い続けていたらここまで来られたので、小中高校生のみなさんも研究者という生き方を頭の片隅に置いておくと,これからの選択肢として役立つかも知れません。


ワークショップでは,皆さんとお会いしてたくさん学びたいと思っています!よろしくお願いいたします.

一般社団法人 マナティー研究所

設立年度:2018年4月6日

役員:

代表理事;菊池夢美

理事;田中将太,   冨田明広

監事;坪井亜里沙

© 2018 -2020 by Japan Manatee Education and Study lab.