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3種の文字を使いこなす日本語に驚く子供達

更新日:2021年10月29日


2018年12月15日に「アマゾンに暮らす人たちの生活から自然を学ぼう」を開催しました。


イベントレポートはこちらです


イベントに関連して、アマゾンの先住民族の方達との出会いや文化についてご紹介するブログです。


ブログのVol. 1はこちら


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ブラジルでの3週間の滞在を終えて,日本に帰ってきました.


ブラジル滞在中,アマゾンの先住民族の文化保全,生活サポートをしている団体「ブラジル社会環境協会(通称ISA)」にお話を聞くため,Boa vista(ボアビスタ)という街へ行ってきました.


そのレポートの続きを紹介します.


ブラジル社会環境協会で,先住民族「ヤノマミ族」の生活支援,文化保護についてお話を聞いた2日後に,先住民族の居住地である保護区を訪問することになりました.


先住民族の人たちが暮らすのは,アマゾンの熱帯雨林です.


そこには,ボーダーラインがはっきりと引いてある訳ではありません.


都市化が進み,森が農地として開拓されたり,街が作られたりと,先住民族の利用する森がどんどん失われていきました.


そのため,彼らの居住地である森を守るために,先住民族の人たち以外,一般の立ち入りが禁止されている保護区が設けられました.


立ち入り禁止区域の看板です

保護区への立ち入りには,許可申請が必要です.


私は,ISAのメンバーといっしょに,「先住民族の人たちからランチの招待を受けた」ということで,保護区を訪問することができました.


先方からの招待があれば,許可申請の手続きなくとも,保護区を訪問することができるということです.


保護区は,街から車で1時間ほどの場所でした.


車を降りると,お昼ご飯の準備の良い匂いがしています.



壊れたオーブンを再利用!薪でチキンを焼いてます

ここは,複数の部族の人たちが集まってコミュニケーションを取ったり,ポルトガル語の研修を受けたりできる,みんなの広場です.


このランチに参加していたのは,「ヤノマミ族」「ワピシャナ族」「マクシ族」の方達です.


みなさん,「先住民族」と聞いて,どんなイメージが浮かびますか?


彼らは,森に暮らしていますが,私たちと同じように洋服をきています.


病院にもいきます,携帯電話も使います,テレビも見ます.


ヤノマミ族の長は,先住民族の文化保護を世界に訴えるために,アメリカやカナダなど世界各国を飛び回っています.



「洋服着て携帯電話持ってるの?」(なーんだ,それじゃイメージが違う.)


そんな声が聞こえてきそうです.


こうした勝手な固定観念は,ブラジルでも問題となっています.


同行したブラジル人の研究者が話していた言葉が,強く印象に残っています.


「一般の人が先住民族と聞いてイメージするのは,原始的な生活です.


彼らはいま,文明を取り入れて生活していますが,それで部族の文化が失われた訳ではありません


日本人も畳じゃなくてフローリングで暮らしていますね.


和食だけじゃなくて,パスタもピザも洋食も食べますね.


生活スタイルを変化させても,日本人には日本の文化が根付いていて,日本人じゃなくなることはありませんね.」



私はいままで,「日本人」の定義についてはっきり考えたことはありませんでした.


しかし,こうした保護区の訪問によって,考えるようになりました.


日本に生まれたから,日本語を話すから,だけでは違うような気がします.


やはり,日本の文化を理解して,それが根付いているから日本人なのでしょうか.


生まれや言葉だけじゃ,XXX人という定義は難しいと思いました.


となると,文化を深く理解すれば,どの国の人にもなれるのかな?なんて,のんびり考えました.



さて,ランチに参加していた「ヤノマミ族」「ワピシャナ族」「マクシ族」.


驚くことに,3つの部族の言葉は全く違います


日本語とラテン語くらい違う,とその場に居合わせたISAの言語学者の女性に教えてもらいました.


「先住民族の人たちは,言葉が通じないけれど,コミュニケーションはうまくいっているのですか?」


「この保護区では,ポルトガル語の研修もしているから,それでコミュニケーションを取っているのよ.」


3つの部族の人たちは,それぞれのテリトリーを移動しながら暮らしています.


言葉が通じなくとも,争いはなく,平和に共存しているのだそうです.


広場にあるサッカー場.ゴールは木の枠組みでできている.

森の外では,先住民族の方達に対する差別や偏見が根強く残っています.



中には,彼らを相手に不当な商売をしてきた人たちもいます.


また,先住民族を物珍しい対象として商業利用しようとする人たちもいるのだそうです.


そのため,先住民族の文化や生活を守るため,写真や動画などは厳しく利用が制限されています


このブログでも,彼らと一緒に写っている写真をほとんど紹介できないのには,このような事情があります.



さて,お昼ご飯を食べると,それまで遠巻きに恥ずかしそうにしていた子供たちが,少しづつ打ち解けてくれました.


彼らにとっては初めての日本人.


実は,保護区に到着してからずっと,強い視線を感じていました!



ふと横をみれば,必ず誰かと目があいます.


でも嫌な気分はしません.目があうと,ニコッと微笑んでくれます.


あまり視線を合わせると,もっと恥ずかしがるかな?と思ったので,できるだけ見ないようにして,自由に観察してもらいました.



ランチのあと,ブラジル人の研究者に通訳をお願いして,コミュニケーションをとります.


「ヤノマミ族は,5つの言葉を持つんですよね?実は,日本には3種類の文字があるんですよ」


「えー?なにそれ」


子供達は興味津々.


それで,近くにいた女の子の名前を聞いて,それをひらがな,カタカナ,漢字(当て字)で書いてみました.



あんじぇりか,アンジェリカ,安慈枝利香



漢字には意味があることを伝えて,それぞれの文字の意味を教えてあげます.


森に暮らすヤノマミ族の女の子だったので,名前にこうした漢字を当てました.



「こんな小さい文字にいちいち意味があるの?」


日本人は3種の文字を使いこなしてる!と子供たちは驚いていました.


こうしてみんなと話すと,「日本語って複雑でむずかしいなあ」と思います.



保護区の広場を後にして帰ります

11時に到着して,帰り仕度を始めたのはなんと夕方5時!!


あっっという間に時間が過ぎました.



翌日は,ボアビスタから長距離バスでマナウスまで帰ります.


なんと12時間..


ですが,海外のバスは座席が広いので,飛行機よりも全然快適!


お昼ご飯やトイレ休憩もあるので,疲れずに12時間を過ごすことができました.


ノエミアさん(右),ヤノマミ族の男性と他部族の女性


ボアビスタへの旅に誘ってくれたノエミアさんは,アマゾンのキノコの研究をしています.


(ノエミアさんの紹介ブログvol1. はこちら)



ノエミアさんとISAの協力のもと,12/15(土)にワークショップを開催します


アマゾンに暮らす人たちの生活から自然を学ぼう(子供〜大人対象)


ヤノマミ族の食べているアマゾンのキノコを使った「キノコ汁」の試食ができます.(協力:八重洲「とよだ」)


実際にヤノマミ族の乾燥キノコを食べられる,日本で唯一の機会となっています!


また,ヤノマミ族のリーダーから,日本のワークショップ参加者に向けて,ビデオレターを受け取ってきました!


この機会にぜひ,アマゾンの自然と共存するヤノマミ族について学びにきてください!




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