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サイエンスカフェ 生物多様性


講師と参加者が共に考える時間をつくりたい、と始めたマナティー研究所のサイエンスカフェは、今年で3回目となりました。


今年は海の環境問題生物多様性のテーマに分けて開催しました!



このブログでは、生物多様性の回を紹介します。


海の環境問題のブログはこちら



3日間で4名の講師による発表を行いました。


事前に発表動画をyoutubeで参加者向けに限定公開し、質問を募集して、当日に寄せられた質問へ回答していく、ラジオ形式で開催しました。


 

7 月/3 絶滅危惧種ツシマヤマネコから考える生物多様性保全

藤原摩耶子(京大野生研)


ツシマヤマネコは日本の天然記念物として保護されていて、生息数は約100頭と言われています。


国内で最も絶滅の危機に瀕している野生動物の1種です。


ツシマヤマネコの数はどんどん減っていってしまいました。


それは、ヤマネコのえさとなる生きものが少なくなったり、彼らが暮らす場所が減ってしまったりしたからだと言われています。さらに、交通事故でも命を落としています。


ツシマヤマネコの保全には何が必要か?どんな対策がとられているか?


講師に紹介していただき、考える時間となりました。



 

7 /6 生き物をまもるとは? 〜ユキヒョウを例に考えてみる〜

木下こづえ(京大野生研 / twinstrust)


幻の動物、ユキヒョウ

まだまだ生態が謎につつまれていますが、なぜ数が減っているのでしょう?


気候変動の影響のほか、毛皮を狙った密漁や、害獣としての駆除がユキヒョウの数を減らしています。


家畜の過放牧も問題となっています。


冬になると、日本の私たちはカシミヤのセーターなどが欲しくなります。

しかし、こうしたセーターの羊毛は、モンゴルからの輸入が大半をしめているとのことです。


羊たちをたくさん売るために放牧しすぎてしまうと、過放牧となり、砂漠化がすすんで、植物が減ってしまいます。


その結果、ユキヒョウのえさ動物(アイベックスなど)と家畜の生息地が重なってしまい、ユキヒョウが家畜を襲うようになり、ユキヒョウが害獣として駆除されるようになってしまうのです。


日本の私たちの生活は、ユキヒョウの減少と無関係ではないことがわかりました。


講師からは大切な問いかけがありました。


「ユキヒョウがいなくなっても私たちの生活には影響がないでしょうか?」


生きものを守るとはどういうことなのか?


ユキヒョウを通して考える機会をいただきました。


 

7 /10 人と森との共存を考える〜アグロフォレストリーの可能性〜

武田エリアス真由子(株) アマモス·アマゾン / 特非)クルミン·ジャポン)


アグロフォレストリーは森林農業といいます。


今回は、遷移型アグロフォレストリー(SAF)について紹介していただきました。


SAFは、二次林の植物遷移を模倣して、経済価値のある作物の時系列栽培を行うこと、と説明がありました。


つまり、自然の中で起こる森林再生プロセスをお手本にして、商品になる農作物や樹木をつくる、というものです。



短期(バナナやキャッサバなど)、中期(コショウなど)、長期作物(アサイー、カカオなど)を組み合わせて栽培することで、農家さんの収入があがります。


また、いろんな種類を組み合わせて栽培することで、病気や災害などのリスクを分散することができます。


さらに、栄養循環、栄養効率、水分循環、土壌の質、補水能力が向上するのだそうです。


そして、1種類だけを栽培する工業型農業よりも、はるかに高い生物多様性を保つことができる、という特徴もあります。


最後に、講師からの問いかけがありました。


「持続可能なフードシステムをつくるために、私たちには何ができるでしょうか?」


皆さんはどう思いますか?



 

アマゾンのヤノマミ族から自然を学ぶ

菊池夢美(京大野生研 / 社)マナティー研究所)


ブラジルとベネズエラの熱帯雨林に暮らす先住民族、ヤノマミ族の食文化から、自然のたいせつさを考える機会にしたいと思いました。


ヤノマミ族は森を数年ごとに移動して、自然のものをつかって暮らしています。

彼らは焼畑でキャッサバを栽培したり、森の動物を狩ったり、森のキノコを収穫したりして暮らしています。