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サイエンスカフェ(さかな回)

更新日:2021年10月29日

2019年6月30日(日)サイエンスカフェ「まだわかっていないこと - 海の研究 -」

東京大学農学部にて開催しました.


第1回サイエンスカフェ・マナティーのブログはこちらから


第2回サイエンスカフェ・海鳥のブログはこちらから


第3回サイエンスカフェ・ウミガメのブログはこちらから


第4回サイエンスカフェ・クジラのブログはこちらから


第5回サイエンスカフェ・さかなのブログはこちらから


 

今回のサイエンスカフェのテーマは


サステナブルな魚の利用について


中央水産研究所の真鍋明弘さんに登壇していただきました.


さかな資源についてはショッキングな現状があります.


全世界の水産資源について,約30%が乱獲状態であると言われています.


Costelloら(2016)によれば,主要な水産資源の約68%が乱獲状態である,と報告されています.そして, 2050年には88%の水産資源が乱獲状態になる,と予想されました.


人間が育てる畜産業や農業と異なり,水産業は自然が育んだものを獲ります.


乱獲がつづけば,資源が枯渇するのは時間の問題です.


枯渇すれば,もちろん魚を取れなくなり,食べられなくなります.


今回のテーマはこちらです


テーマ1.魚を食べ続けるために必要な対策は?


テーマ2.持続可能な管理のためには「若い魚」「卵を持つ親魚どちらの漁獲の方が良いでしょうか?



「天然のお魚が獲れないなら,養殖のお魚を食べれば?」


マグロやうなぎの完全養殖がある!


とはいえ,養殖の魚を育てるためには,海から魚を取ってこないといけません.


そして養殖魚が食べるものは天然魚由来の飼料です.


養殖する魚によっては,成長までに大量の餌が必要な場合もあります.


例えば,マグロを1kg増やすためには餌が15kgも必要(増肉係数)


さらに,養殖魚の排泄物や残った餌によって海洋汚染も心配されています.



テーマ1 魚を食べ続けるために必要な対策は?


ポイント

① 現在の養殖のエサは魚が主流

② 養殖によっては天然魚の子供を獲って育てている

③過密飼育による海洋汚染



参加者の皆様にはグループディスカッションをしていただきました.

こちらでは,アイディアの一部をご紹介します.


アイディア|養殖の餌にとうもろこしやクラゲを利用など,餌を変えられないか


植物性栄養素をどのように取り入れるか,が今後の課題となっています.


これまでの研究で,ヨーロッパヘダイやナイルティアピアなど,一部の魚では植物性タンパク質で飼育できることがわかりました.



アイディア|魚の種類ごとに漁獲制限をつけたらどうか


日本では50の魚種や群れ(系群)で漁獲制限を設けているけど,日本ではもっと多様な魚種や群れが存在しています.


漁獲管理や制限がおいついていないそうです.



水産資源についてはわからないことだらけ


海の中にいる魚の量 ➡ 数学的に推定


私たちが食べる魚の一生 ➡ 調査から推測


なぜ大きく増減するのか ➡ 気候から推定


私たちが食べている魚のことについて,データに基づいて推測されているものは少ないんですね.



アイディア|養殖して成長した親の魚の一部を野生へ放流する


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