2019年6月30日(日)サイエンスカフェ「まだわかっていないこと - 海の研究 -」
東京大学農学部にて開催しました.
第1回サイエンスカフェ・マナティーのブログはこちらから
第2回サイエンスカフェ・海鳥のブログはこちらから
第3回サイエンスカフェ・ウミガメのブログはこちらから
第4回サイエンスカフェ・クジラのブログはこちらから
第5回サイエンスカフェ・さかなのブログはこちらから
今回のサイエンスカフェのテーマは
サステナブルな魚の利用について
中央水産研究所の真鍋明弘さんに登壇していただきました.
さかな資源についてはショッキングな現状があります.
全世界の水産資源について,約30%が乱獲状態であると言われています.
Costelloら(2016)によれば,主要な水産資源の約68%が乱獲状態である,と報告されています.そして, 2050年には88%の水産資源が乱獲状態になる,と予想されました.
人間が育てる畜産業や農業と異なり,水産業は自然が育んだものを獲ります.
乱獲がつづけば,資源が枯渇するのは時間の問題です.
枯渇すれば,もちろん魚を取れなくなり,食べられなくなります.
今回のテーマはこちらです
テーマ1.魚を食べ続けるために必要な対策は?
テーマ2.持続可能な管理のためには「若い魚」「卵を持つ親魚どちらの漁獲の方が良いでしょうか?

「天然のお魚が獲れないなら,養殖のお魚を食べれば?」
マグロやうなぎの完全養殖がある!
とはいえ,養殖の魚を育てるためには,海から魚を取ってこないといけません.
そして養殖魚が食べるものは天然魚由来の飼料です.
養殖する魚によっては,成長までに大量の餌が必要な場合もあります.
例えば,マグロを1kg増やすためには餌が15kgも必要(増肉係数)
さらに,養殖魚の排泄物や残った餌によって海洋汚染も心配されています.
テーマ1 魚を食べ続けるために必要な対策は?
ポイント
① 現在の養殖のエサは魚が主流
② 養殖によっては天然魚の子供を獲って育てている
③過密飼育による海洋汚染
参加者の皆様にはグループディスカッションをしていただきました.
こちらでは,アイディアの一部をご紹介します.
アイディア|養殖の餌にとうもろこしやクラゲを利用など,餌を変えられないか
植物性栄養素をどのように取り入れるか,が今後の課題となっています.
これまでの研究で,ヨーロッパヘダイやナイルティアピアなど,一部の魚では植物性タンパク質で飼育できることがわかりました.
アイディア|魚の種類ごとに漁獲制限をつけたらどうか
日本では50の魚種や群れ(系群)で漁獲制限を設けているけど,日本ではもっと多様な魚種や群れが存在しています.
漁獲管理や制限がおいついていないそうです.
水産資源についてはわからないことだらけ
海の中にいる魚の量 ➡ 数学的に推定
私たちが食べる魚の一生 ➡ 調査から推測
なぜ大きく増減するのか ➡ 気候から推定
私たちが食べている魚のことについて,データに基づいて推測されているものは少ないんですね.

アイディア|養殖して成長した親の魚の一部を野生へ放流する