海牛祭りとは?
人魚のモデルとして有名な海牛類(マナティー,ジュゴン)についてくわしく紹介する,一般向けのサイエンスイベントです.
2021年のテーマは「潜る鯨類と潜らない海牛類」です.
参加申し込みはこちらのPeatixのサイトから受付中です
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ダニエルは私と同い年のアメリカ人研究者です
生まれは南米なので,スペイン語と英語ネイティブです.
調査地は主にメキシコ,最近はブラジルでの調査も行っています.
現在は大学の准教授として学生たちの研究をサポートしています.
ダニエルと初めて会ったのは,2009年にカナダのケベックで開催された2年に1度の国際水生ほ乳類学会です.
この学会にあわせて開催された国際海牛類シンポジウム(International sirenian symposium)があり,そこで私はデータロガーを使ったマナティーの行動研究を紹介しました.
ダニエルはソナーをつかったマナティーの調査について紹介していました.
ソナーとは,水中を伝わる音を使って,水の中や水底にあるものを可視化して情報を得る装置です.
わかりやすいのは魚探です.あれも海の中の魚の群れを可視化して探すことができます.
Gonzalez-Socoloske, Daniel, Leon D. Olivera-Gomez, and Robert E. Ford. "Detection of free-ranging West Indian manatees Trichechus manatus using side-scan sonar." Endangered species research 8.3 (2009): 249-257.
こちらがダニエルのソナー調査の写真です.a)をわかりやすく色つけしたのが b)です.
b) のM が,ソナーでとらえたマナティーの姿を示しています.
そして,Sはマナティーの影を示しています.つまり,このときのマナティーは水底ではなく水中に浮いている状態だったということです.
私はダニエルのソナー調査の発表を聞いて,画期的な方法に感激しました.
しかし,英語が得意でない私は(いまも苦手),いろんな人に話しかけて自分を売り込んで共同研究を進める,なんて上級テクニックはなく,ポツンとしていました.
ダニエルはそんな私に,「君の研究面白いね,一緒にメキシコでマナティーの調査をしよう」と声をかけてくれました.
研究費もすべて出すから,とまで言ってくれたのに,その当時の私は(研究室内で)自由に身動きできない身分で,せっかくの素晴らしい提案を受けられませんでした.
今思い出しても,なんとも歯がゆく,辛いです.
私がメキシコへ行くことができたのは2011年.海外の助成金を獲得していきました.
その頃にはダニエルが行なっていた野生のマナティー調査は終了していたので,別の実験をしに行きました.
メキシコのカンクンで,ドルフィンディスカバリーという大型水族館の協力を得て,飼育しているマナティーの食べる音を録音する実験をしました.
お客さんのいない時間を狙って実験をするので,1日の大部分が待機でした.
細かい記憶がないのですが,暑くて死にそうな毎日でした.
カンクンでの実験の後は,タバスコ州の大学まで夜行バスで移動しました.
大学には,その当時フチマンと名付けられた,推定3歳ほどの保護マナティーがいました.
彼を野生にもどすとき,データロガーを装着して行動を調べたいね,と話していたけれど,まもなくフチマンは亡くなってしまいました.
その後,ダニエルと一緒に研究を行う機会はまだありませんが,いまも情報交換と論文作成を続けています.
12年の間に,お互いに家族ができ,悲しい出来事もあり,もう研究をやめようと思うこともありましたが,メールで励ましあい,学会で会ったら研究の夢を語り合い,友人として応援しています.
また一緒に調査をする機会を目指して,私たちはそれぞれ頑張っています.
2019年の国際水生ほ乳類学会での記念写真
濁った水の中の人魚 -ソナーを使ったマナティー調査-(Daniel Gonzalez-Socoloske・アンドリュース大)
ダニエルの発表は動画として受け取り,日本語字幕をつけています.
質問は日本語で構いませんので,ぜひyoutubeのコメント欄に書き込んでください.
後ほど講師から回答をもらう予定ですので,ぜひコメント欄を盛り上げてください!
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