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小さな菊池博士(最終回)

報告者:冨田明広


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さて、子供たちは熱帯雨林が減っていることと自分たちの生活が見えないけれど繋がっていたことを知り、


自分たちが知っているだけじゃ解決しない


私たちも研究したことをみんなに伝えなくちゃいけない


このように考えて、保護者も参加できる学習発表会で劇を披露しようと決めました。


劇の制作に時間はかかりましたが、子どもたちは教師の支援を活用しながら、劇を3部構成にしていきました。


第1部 世界中の熱帯雨林で危機に瀕している動物たち


第2部 熱帯雨林が減少している理由


第3部 世界を救う未来の私達


第1部は、マナティーを含め、森に火をつけられて、追いやられていく動物たちの姿を描き出します。


おそらく、南米のエクアドルの民話「ハチドリのひとしずく」を読み聞かせしたことに子どもたちは影響を受けているように思います。


森林を焼き尽くす大火を前にして、小さなハチドリは自分にできる精一杯のこととして、一滴ずつ水を垂らしていくお話です。


子どもたちは、自分自身をハチドリと重ね合わせているのかもしれません。


第2部は、子どもたちが一生懸命調べたことを伝える内容でした。


こちらはやはり、自分自身で調べたことを自分なりの表現で伝えたいという気持ちに溢れていました。


パーム油のこと、放牧のこと、そして大豆のこと。


世界中の熱帯雨林が恐ろしいスピードで減り続けていることも、子どもたちは体を精一杯動かして表現していました。


そして第3部の内容に私自身も驚きました。


ある男の子が減り続ける熱帯雨林のことを知り、博士になって世界を救おうとするという内容なのです。


そして小さな博士が、「知ること・伝えること」で仲間を広げ、みんなで問題に立ち向かっていく内容でした。


小さな男の子が菊池博士からいろいろなことを教えてもらい、大きくなって博士になって、たくさんの人に協力を求めていくような内容です。


この男の子は熱帯雨林がみるみる少なくなっている現状をクラス全体に説明した男の子でした。


彼はきっと、自分の将来の姿と重ねていたのだと思います。


この第3部の台本を読んだとき、子どもたちは教師の想像を軽々と超えていくなあと、とても嬉しい気持ちになりました。


子どもたちはとうに具体的な未来を描き出すために動き始めていたのです。


子どもたちは、伝えるか伝えまいかに悩む教師を一瞬で追い越し、軽快に先へ進もうとしています。



さて、一人の大人として自分は何ができるのでしょうか。


劇は、たくさんの子どもたちと保護者から多くの拍手をもらい、終わりました。


このとき3月。


3年生最後の学習にふさわしい内容になりました。


劇を見たたくさんの人から、模造紙に貼りきれないほどのファンレターをもらいました。



マナティー研究所設立へ


私自身にとっても、この学習での経験が、マナティー研究所の設立に携わる一つのきっかけになっていることは間違いありません。


環境問題や平和の問題に対して子どもたちは一生懸命に自分ができることを模索し、表現していきます。


その姿を前にして、自分は一体何ができるのだろうか。


こんな自分でも、子どもたちの前に立てば大人を代表する一人となってしまいます。


そんな自分が、ただ子どもを動かすことだけを生業としていては、子どもたちは薄っぺらな自分を見透かし、大人は結局、口だけだと考えてしまうかもしれません。


子どもたちに少しでも生き方のモデルを示せれば


そんな思いでマナティー研究所の設立や運営に関わるようになっていきました。


こんな動き出しそうな子どもたちを育て、背中を後押ししてあげられるような、さらに私達自身も子どもたちの姿から学べるような研究所でありたいと思います。


マナティー研究所を通して、複雑に絡み合う大きな問題にハチドリのひとしずくをおとすクリキンディのように


そして、熱帯雨林の減少を食い止めようと動き出した子どもたちのように


勇気ある一歩を踏み出していきたいと思います。







 

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