2019年6月15日(土)サイエンスカフェ「まだわかっていないこと - 海の研究 -」
東京大学農学部にて開催しました.
第1回サイエンスカフェ・マナティーのブログはこちらから
第2回サイエンスカフェ・海鳥のブログはこちらから
第3回サイエンスカフェ・ウミガメのブログはこちらから
第4回サイエンスカフェ・クジラのブログはこちらから
第5回サイエンスカフェ・さかなのブログはこちらから
今回は「オオミズナギドリの帰巣行動について」です.
国立極地研究所で海鳥の行動研究をしている塩見さんに講師として登壇していただきました.

出かけたら帰ってくる
この帰巣行動については分かっていないことがたくさんあります.
私たちは地図を持ち,時計を持ちます.
スマホなどのアプリを使えば,到着時刻から逆算して,何時に家を出れば時間通りに目的地に着くか,簡単に分かります.
そうしたことを海鳥たちは自分自身でコントロールしているわけです.
しかも移動距離は数百キロメートルを超えることも.
数泊して移動しないといけなかったり,悪天候のときもあったり,天敵に襲われたりもします.
前回と同様に,オオミズナギドリの帰巣行動の謎について紹介,
参加者のみなさんにグループディスカッションをしていただき,アイディアを発表してもらいました.
今回の ディスカッション・テーマはこちらです!
テーマ1.オオミズナギドリはなぜ遠くで餌取りをするのだろうか?
テーマ2-1.彼らは何をきっかけに帰ろうとするのか
テーマ2-2.どうして時間通りに帰れるのか?

グループディスカッションで出たアイディアの一例を紹介します
テーマ1.オオミズナギドリはなぜ遠くで餌取りをするのだろうか?
アイディア|魚群や魚を追いかけているうちに,遠くまで行ってしまったのではないか
もともと遠くを目指して飛んでいくのではなく,いつの間にか遠くに行っている
そうした可能性について紹介してくれるグループが多かったと思います.
テーマ2-1.彼らは何をきっかけに帰ろうとするのか
アイディア| 自分の体重(胃袋の状態)が帰るかどうかの判断基準になっている
自分と雛のためのエサが十分取れたら帰るきっかけになるのでは,ということです.
餌取りから帰ってきたオオミズナギドリの体重を測定するのは難しいため,どのくらい魚を獲ってくるか分かっていません.
今後の調査によって,この辺りは明らかにされるかもしれません.
塩見さんから補足情報もありました.
エサの量が増えると体重が増えます.
そうすると,長距離移動が大変になってしまう.
エサの量と移動コスト,このエネルギー配分も重要なテーマです,と教えてくれました.
たくさんエサを取るだけじゃなく,帰りの距離を考えて,ちょうどいい餌の量にとどめておくことが必要なのですね.
私たちも,遠出した時は重いものを買わないようにしますよね.持ち帰ることを考えてセーブすると思います.
