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3/13(土)オンライン・第3回海牛祭り

更新日:2021年10月29日


海牛祭りとは?


人魚のモデルとして有名な海牛類(マナティー,ジュゴン)についてくわしく紹介する,一般向けのサイエンスイベントです.


2021年のテーマは「潜る鯨類と潜らない海牛類」です.


参加申し込みはこちらのPeatixのサイトから受付中です

(https://kaigyumaturi3.peatix.com



講師紹介ブログを公開中!


三谷博士(発表タイトル:北海道でのシャチの暮らし


青木博士(バイオロギングで調べるマッコウクジラの潜水行動)


市川博士(ジュゴンのロデオ!ー人魚姫はどこで眠るのかー


小寺博士(イルカの歯の不思議)

菊池夢美(食べる行動をかんたんに調べたい


Daniel博士(濁った水の中の人魚 -ソナーを使ったマナティー調査-


Aristide博士(カメルーンのアフリカマナティーの保全について


 



「潜らない海牛類」と聞いて,あれ?と思ったかもしれません.


海牛類のマナティーとジュゴンは,水の中で生まれて一生を過ごす水生ほ乳類です.


「潜ってるよね?」


はい,水に潜ってます.





でも,海牛類と鯨類の潜る深さはまったくちがっています.


数百〜数千メートルも潜る鯨類と比べたら,海牛類の潜る2-3メートル程度の水深はほとんど水面のようなものです.



なぜ海牛類は深く潜らないのでしょうか?



海牛類は草食性の水生ほ乳類です.


餌となる水草や海草は太陽の光を受けて育つので,水面に浮いていたり,3メートルほどの浅い水深に生えていたりします.


そのため,それらを食べる海牛類は浅い水深で暮らしていて,深く潜る必要がないのです.



一方で,魚やプランクトンを食べる鯨類はエサを求めて深く潜ります


鯨類は深く潜るために体を適応させてきました.


マッコウクジラは数千メートルも深く潜ることが知られていますが,なんでそんな大変なことをするのか,というと,餌を食べるためだと考えられています.




水中の行動を調べるために,データロガーという動物の体にくっつける記録装置が使われています.



私もアマゾンマナティーにデータロガーをつけて行動を記録して調べています.


データの解析を始めたばかりのころは,鯨類やヒレアシ類の行動データが羨ましかったです.


バシバシと深く潜るので,解析しやすい!


しっかり尾ビレなどをふって泳ぐので,ストロークもきれいにデータにあらわれる!



マナティーのデータはとてもぼやけています.


浅い水深で,泳ぐとも休むともとれないような,不鮮明なデータが多いです.


データロガーを使うことで初めて見えてきた行動もありました.


しかし,鯨類と比べてはっきりしないマナティーの行動データを解析する中で,マナティーの生態を調べるには他の方法も必要だ,と考えるようになりました.


特に私たちのチームが調べたかったのは,「食べる行動」です.