海牛祭りとは?
人魚のモデルとして有名な海牛類(マナティー,ジュゴン)についてくわしく紹介する,一般向けのサイエンスイベントです.
2021年のテーマは「潜る鯨類と潜らない海牛類」です.
参加申し込みはこちらのPeatixのサイトから受付中です
(https://kaigyumaturi3.peatix.com )
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Daniel博士(濁った水の中の人魚 -ソナーを使ったマナティー調査-)
Aristide博士(カメルーンのアフリカマナティーの保全について)
「潜らない海牛類」と聞いて,あれ?と思ったかもしれません.
海牛類のマナティーとジュゴンは,水の中で生まれて一生を過ごす水生ほ乳類です.
「潜ってるよね?」
はい,水に潜ってます.

でも,海牛類と鯨類の潜る深さはまったくちがっています.
数百〜数千メートルも潜る鯨類と比べたら,海牛類の潜る2-3メートル程度の水深はほとんど水面のようなものです.
なぜ海牛類は深く潜らないのでしょうか?
海牛類は草食性の水生ほ乳類です.
餌となる水草や海草は太陽の光を受けて育つので,水面に浮いていたり,3メートルほどの浅い水深に生えていたりします.
そのため,それらを食べる海牛類は浅い水深で暮らしていて,深く潜る必要がないのです.
一方で,魚やプランクトンを食べる鯨類はエサを求めて深く潜ります.
鯨類は深く潜るために体を適応させてきました.
マッコウクジラは数千メートルも深く潜ることが知られていますが,なんでそんな大変なことをするのか,というと,餌を食べるためだと考えられています.

水中の行動を調べるために,データロガーという動物の体にくっつける記録装置が使われています.
私もアマゾンマナティーにデータロガーをつけて行動を記録して調べています.
データの解析を始めたばかりのころは,鯨類やヒレアシ類の行動データが羨ましかったです.
バシバシと深く潜るので,解析しやすい!
しっかり尾ビレなどをふって泳ぐので,ストロークもきれいにデータにあらわれる!
マナティーのデータはとてもぼやけています.
浅い水深で,泳ぐとも休むともとれないような,不鮮明なデータが多いです.
データロガーを使うことで初めて見えてきた行動もありました.
しかし,鯨類と比べてはっきりしないマナティーの行動データを解析する中で,マナティーの生態を調べるには他の方法も必要だ,と考えるようになりました.
特に私たちのチームが調べたかったのは,「食べる行動」です.
